夏の日差しが落ち着く頃、やわらかな風とともにふと蘇る言葉がある。
『このお腹の子はね、お母さんのことを想って身を引いたんだよ』
10年以上も経つのにこの診察室での情景は今でも鮮明に残っている。
初めて授かった子は8週で心拍を止めた。どうしても受け入れられず、セカンドオピニオンで訪れた助産院でのおばあちゃん先生との出会い。未来を無くし自身の責任ばかり考えていた私はこの言葉で前に進む力をもらった。
現実を受け止めることで精一杯だったあの日、今ふたりの子どもと伝えたい『ありがとうございました。先生の言葉でどんなに救われたか。
反抗期の娘とは毎日けんか、野球大好きな息子もやんちゃで日々たいへんです。』
今でも困難なことにぶつかった時、なぜかいつも先生の言葉が頭をよぎる。『わたしを想って・・・』そう考えると不思議と何でも気持ちが楽になる。そんな魔法の言葉をいただきありがとうございました。私の一生の宝物です。
愛知県 一般(高校生以上)の部